こんにちは、ぎぬまです。
11月も後半になり、コートも必要なくらい寒い時期がやってきましたね。たまの暑い日がくると白黒ハッキリつけて欲しいと感じちゃいます。
(そう Yes or No)
さて、今日更新している11/21は
TVアニメ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
第8話「しずく、モノクローム」
放送から1周年です!
演劇をしているしずくちゃんがメインのお話でで、しずくちゃんの心の葛藤を凄く表していたお話でしたね。
今回はその中の演劇「荒野の雨」について面白い目線で書かせていただきました。
・はじめに
皆さんは演劇を見たことはありますか?
ある方ない方いると思います、私も実際に見たことがあるのは5回ほどだと思います。
そんな演劇をするにあたって絶対に必要になってくる立ち位置が3つあります。
1.演者
2.観劇者
3. 裏方
この3つです。
今回の目線というのは3の裏方の目線です。
音響、照明、舞台としてあの合同演劇祭が裏方としてどう映っているのか、そして現実としての検証と考察を行った記事となっております。
そういった内容ですのでいくつかの注意点がありますので先に提示させていただきます。
注意1
裏方の目線ということなので、かなりメタい視点が入ってます。エンターテインメントという世界観を大切にしたい方はご注意ください。
注意2
私は完璧な演劇のプロではなく趣味のような部分の知識しか持ち合わせていません。
それにあたり複数名の友人から話を聞いて今回の記事作成を行いました。
検証、考察が間違っている点もあるかと思いますのでご了承ください。
以上の2点を踏まえた上でお楽しみください。
それでは、間もなく開演致します。
第8話「しずく、モノクローム」
演目:荒野の雨 主演:桜坂しずく
利用ホール施設概要
作中:虹ヶ咲学園内施設
現実:東京ビッグサイト 会議棟7階国際会議場
キャパシティ1000人
舞台寸法
横:20.5m 縦:6.8m
客席寸法
横:34.0m
縦(舞台から客席後方までの距離):26.5m
※舞台図面からの計算なので誤差あり
高さの記載は分からないので不明とする。
ここから言えるこのホール施設の特徴は
「横に長く縦が短い舞台で、中規模なホール規模」である。
〇ホール施設内における特殊効果、雨の演出について
・雨の演出を行った際のホールの対応について
本来、公共のホール施設での水の使用は厳禁である。
理由としては床素材が木材であり、液体が付着してしまうと舞台上のシミとなり腐食の原因ともなってしまうからである。
通常の水を使用している可能性を考えるなら、耐水性のシートを舞台床面に敷かれているというものになるだろう。
・雨の演出上の水の主成分について
ホールでの許可を得られる雨の演出の可能性を考えてみると、噴霧上に演出を行えるスモークの使用があるだろう。
主な主成分は油性か水性のものが存在し、舞台上への影響も少なくなるであろう。しかし、雨という演出のためアニメ内の垂直な雨の落ち方を再現することは正直難しいと思われる。
・プロジェクションマッピングや映像での演出について
雨の演出としてもう一つの可能性として考えられる可能性は映像である。
プロジェクションマッピングのような映像で映し出す方法であれば床面への問題を気にすることなく、雨を表現することが可能である。特に現実のラブライブ!のライブにおいても映像を使用した演出は行われているので前述のスモークよりも現実的に可能である。
引っかかる点を上げるとするならば、【リアル感】が無いというものだ。
プロジェクションマッピングのようなプロジェクターでの映像投影を行うとして、本物の水を使用したものに比べるとどうしても作り物のように感じてしまうであろう。また、桜坂しずくに直接雨が当たって体を弾いていることも含めて雨の再現を映像で行う必要があるため、映像制作の技術的な面も引っかかる点に当たる。
〇「荒野の雨」での照明効果について
・劇中に使用されている照明機材使用について
今回使用されていると想定できる照明機材を一つずつ簡単に説明をしていく。
・フレネルライト
主に舞台全体を照らしている照明で人物などではなく、舞台を見やすくするために使われているものである。
・平凸レンズライト
用途としては動かない人を当てるときのもので今回はスポットライトの役割
・ムービングライト
天井より演者を当てているものは主にムービングライトが妥当である。
理由としては天井に吊ってある照明機器で演者の移動と共に当てることが可能なものは首を自在に動かすことの出来るムービングライトしかないと考えられるから。
・ピンスポット
人物を正面から照らすもので今回の照明機器の中で一番明るいものである。
客席から顔がはっきりと見えているため正面からのピンスポットは使用していると考えられる。
Solitude Rainのシーンにもピンスポットらしきものも4台確認される。
Solitude Rainにおける影の演出表現についても、正面にあるピンスポット4台で左・真ん中・右で当てて三方向からの影が作られていると考えられる。
・街灯仕込みライト
文字通り舞台セット内にある街灯の中に照明を仕込んであるもの。
街灯の素材が可燃性で無いことを願う。
〇「荒野の雨」での音響設備について
・常設吊りスピーカーとカバー範囲について
作中に視認できるスピーカーは舞台正面の真ん中に常設で設置されていると思われるラインアレイスピーカー8連結仕様のみである。
1000人規模のホールで、今回の使用目的である演劇及びライブを行うに際して満足なカバーエリアは備わっていないと考えられる。
(これが8つ繋がっている)
・他スピーカーの設置位置と有無について
上記に記載した常設吊りスピーカーのみでの拡声を行わない場合、仮設で設置するスピーカーが必要である。
その際に必要な種類は、客席に聴かせるメインスピーカーLR、演者へ音を聴かせるモニタースピーカーが少なくとも必要である。
その際の推定の設置場所は
・舞台セットの中に設置する場合(可能性高)
・舞台上に設置する場合(可能性低)
・見えない位置で吊っている場合(可能性低)
セットの中が可能性として高い理由として、
「演劇」というものがその世界観に入り込むことを意識させるため剝き出しのスピーカーという現実的なものを見せることはすこし考えにくいという要素である。
舞台セットの中にスピーカーを設置する場合は、今回のセットが三分割であるため各ブロック一つずつであろう予測を立て、三方向のスピーカーがあれば最低限の音の出る位置がカバーできると考えられる。
〇音響演出における使用されるマイクと雨の演出を行った場合について
・バウンダリーマイク使用の場合の設置について
演劇等で使用されるマイクの1つにバウンダリーマイクがある。
バウンダリーマイクとは、壁や床などに設置して使用される集音機能が広いマイクで演劇の他に会議の録音などにも使用される。
マイクの特性とサイズも小さいため演劇の際は舞台の前面に置かれることが多い。
出演人数や会場の規模感とマイク集音を考えると使われている可能性が高いと考えられる。
・ヘッドセットマイク、ピンマイクの場合の衣装の取り付け場所について
演者の声を直接拾うマイクを使用する際に一番考えられるのはヘッドセットマイク、又はピンマイクである。
(ヘッドセットマイク)
(ピンマイク)
ヘッドセットマイクは画像でも分かる通り、顔の横に目に見えているので今回は考えにくいだろう。
ピンマイクであれば、マイクが衣装に隠れた状態で演者の声を鮮明に拾うことが可能である。よって今回の場合はピンマイクの使用を仮定する。
例として、桜坂しずくの衣装のマイクの取り付け場所を上げるなら襟元もしくは首飾りが想定される。
よって、マイクについてはバウンダリーマイクとピンマイクの二重で使われていることが一番考えられるであろう。
・雨の演出におけるマイクの養生対策
雨の特殊効果が現実的に行われていることを想定した場合のマイク機器は悲しいことに以後使えなくなる可能性が非常に高い。
今回のような上から降ってくる雨に対して使用する両マイクともに真正面からの直撃を受けるためである。
マイクを守るための対策としては、雨を弾くビニール生地等の素材でマイク自体を覆うなどでしょう。
意外かもしれないがマイクという機器は落下などの衝撃や耐水性が伴っておらずかなりデリケートな代物であるため、どんな対策案でも正直機器の故障は免れないだろう。
ごめんね…マイク君
〇「荒野の雨」の舞台セットの設置と転換について
・舞台セットの設置の注意点について
今回の舞台セットで気になった点がある。
それはセットの高さが舞台の天井にある照明を吊っているバトンの高さと同等の大きさということ。
まず、この舞台セットの高さをおおよそで計算してみる。
高さを判別するものはこの画像のしずくから寸法を測ってみる。
[計算方法]
私のPCでの桜坂しずく→2.3cm
実際の桜坂しずくの身長→157cm
私のPCでの舞台セットの高さ→約12cm
PC同士の値12÷2.3=5.21
実値計算157×5.21=817.9cm
実際の舞台セットの高さ→817cmとし、
約8.2mとする。
(このシーンから参考)
上記の疑問点に戻ると、あまりにも舞台セットが高すぎるように感じる。そして、その高さのものを支える部分が画像にある木枠のみである。
安全対策として考えられるのは、木枠の部分に重しを置く。舞台セットの上部をバトンに固定できるようにするなどが考えられる。
また、このセットは大きく分けて左・中央・右の三分割であることもほぼ確実である。
・場面転換時の舞台セットの転換に必要な時間と内容について
前半と後半のセットが変わっているため、舞台セットの転換が途中行われたことは間違いない。
上記に記した8.2mの舞台セットの大移動を考えると最低でも30~60分は必要とする。また、高さのあるものなので組み立てが必要なセットと考えられるためお客さんを一度ホールから出してセットを変える時間があると考える。
逆に考えるならば、「荒野の雨」が前編後編の二部構成となっており間に休憩がある舞台であると考えられる。
〇演出としての「荒野の雨」
ここからは、スタッフとしての裏方の目線ではなく、演出としての目線について考えてみる。
・しずくの演劇部分の黒しずくの違い
実は、しずくの心情描写と思われるアニメ前半の演劇部分と現実のアニメ後半の演劇部分では黒しずくに明確な違いがある。
それはイヤホンでアニメ8話を聴いてみればその違いが分かりやすいが、セリフ部分での声が心情描写は“こだま”しているということだ。
そもそも、後半の黒しずくは演劇部部長とネタバラシされているが、前半の黒しずくの正体は判明していない。
前半部分の心情描写と思われる部分も「荒野の雨」の演劇の1シーンとも取れるとかんがえられるが、それを心情描写と現実の演劇での「声」で違いを分けることにより、心情描写の部分は明確に桜坂しずくの心の葛藤を描いている演出だと捉えられるだろう。
・照明演出でひとつになる桜坂しずく
照明演出において桜坂しずくを照らすスポットライトの演出が非常に面白い。
Aパート最後の心情描写において、スポットが黒しずくにのみ当てられており、スポットの当たっていない白しずくに手を差し出す。
白=光、黒=影というイメージが逆転し、黒しずくは違う自分というものではなく本来の自分であることを照明演出として表している。
そしてもうひとつ
Bパートの「荒野の雨」最終シーンにおいては白しずくと黒しずくのそれぞれにスポットライトが当たっているのだが、ひとつになる瞬間の照明演出にしっかりと切り替わりがある。
劇伴「私と私 ~4~」の流れた瞬間にバラバラだった白しずくと黒しずくのスポットライトは大きな一つスポットで二人を囲んでおり、照明表現としてもひとつになった桜坂しずくを演出している。
・最後に
さて、いかがだったでしょうか?
舞台演出としての裏方目線、楽しんでいただけましたか?
今回の記事は全てが想像でしか考えられないものなので、私自身もこの世界に入り「荒野の雨」をこの目で見てみたいですね。
繰り返しになりますが、今回の記事を書くにあたり協力していただいた友人には感謝致します。
それでは今回はこの辺でありがとうございました。
以上をもちまして、終演致します。
誠にありがとうございました。