夢を叶えるために必要なものは何だと思いますか?
例えば、何もない退屈な日常から心を動かされるほどの出会いだったり。この道しかないと思えるほどの絶対的な選択肢を選ぶことだったり。元から持っていた才能を活かしきることや夢を掴むために続ける努力だったりと、自分の夢を叶えることには様々な要素あるかと思います。
それくらい夢には人それぞれに形があって、叶えていくための過程のどこを大切にしているかもその人によってバラバラですね。
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会もそれぞれが違う夢を持っています。だからこそメンバーはソロアイドルをしていたり、スクスタのあなたや高咲侑などスクールアイドルではないメンバーも所属しています。
夢の種類は違えど、夢を叶えたい気持ちが同じだからこそ居られる同好会という居場所と一緒にいる仲間は彼女たちにとってかけがえのないものです。
ですが、夢というものは時に辛くなる瞬間や、未来への不安に前を向けなくなることだってあります。上手くいくことだけが人生ではありませんから。
それでも、どんなときも前を向けたのは隣に誰かがいてくれたから。
「誰もひとりじゃない」と思えたからではないでしょうか。
そんな、誰かの温もりを感じられる劇伴音楽が使用されたシーンについて振り返ってみましょう。
・伸ばす手が掴んだ先は
TVアニメ第2期のオフィシャルBOOKの中では、同好会がスクールアイドルをやる理由について「ただやりたいからやる」と言及されています。
第1期を振り返ってみれば、楽しいことが好きだからやってみたい、誰かと繋がりたいからやりたい、演劇を通して自分を表現したい、など理由はバラバラでもやりたいという気持ちは一人一人にある。同好会として再スタートした第4話のスクールアイドル(害)概論において、かすみ部長が示していたことは、自分のやりたいことをやる同好会という場所が成立した論理となっています。
ただ、やりたいことには常に壁がぶつかってきたことも彼女達の物語を見てきたからこそよく知っているかと思います。
1人でステージに立つ不安、表情が出せず気持ちが伝わらない恐怖心など、自分自身にぶつかる乗り越えるべき壁は立ちはだかってきていて、心情に差し迫るその壁の存在は自分にしか分からない。「やりたいからやる」という考え方は、自分の道を突き進める自由さの代償として、自分の力で乗り越える必要があるのだと思います。人間が同じ夢を見ることはほぼありませんから。
ですが、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の物語では、壁を乗り越える時にはいつもそばに誰かがいてくれたんですよね。
時に仲間として、時にライバルとして、悩んだ時は支え合ってそれぞれの刺激がヒントをくれてお互いに手を取り合ってきたからこそ、メンバー達は自分の夢を掴むことができたのだと思います。
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は誰かに夢を叶えてほしいから、手を伸ばしてくれる。きっと、そんな優しい居場所だから夢は叶うんだと信じられるのだと思います。
さて、劇伴音楽「誰もひとりじゃない」が初めて使用された2期第9話「The Sky I Can't Reach」では、夢を諦めた2人の主人公を軸に物語は進んでいきます。
2期第8話「夢が始まる場所(TOKIMEKI Runners)」にて、第2回SIFの侑が同好会メンバーと手を取って叶えた夢を目の当たりにしたことで、嵐珠は1人で夢を叶えられないのなら諦める、そんな決意をしました。
彼女はこれまで、誰かに頼らずともやりたいことは自分の力で叶えてきました。いえ、正しくはできてしまったのだと思います。
夢に目をそらして一人になる。そんな決断も。
TVアニメでは、嵐珠が誰かと手を取り合ったシーンは2期9話までほとんどありません。
逆に、同好会はユニット活動をする上で、互いの手を繋いだり、拳を合わせることで意思の共有をして一人じゃできないパフォーマンスをして見せました。
QU4RTZは手を取り合うことでもっと伝えられた。
DiverDivaは競い合える仲間だからこそ、輝きをより放つことができた。
A・ZU・NAはお互いの世界観が混ざり合うことで、たくさんの可能性のある未来を掴むことができた。
手を繋ぐことができなければ、スクールアイドルにはなれても大好きな同好会には入れない。掴んでほしいと願いながらも手を伸ばす勇気が無いことが、孤高のソロアイドル
鐘嵐珠の弱さなのでしょう。
次に、歌うことが好きだったのに諦めていたミアについて。
彼女も、幼いころステージに立てなかったことで、歌うことはできないことだと決めつけて生きてきました。大好きなことでも始めることすらできなかったら意味はなく、夢は諦めるしかなかったのです。
そんなミアに手を差し伸べたのは、短くも同じ時間を過ごしてきた璃奈でした。
歌が好きならその気持ちを無かったことにしないでほしい。
ミアちゃんにもっと楽しんでほしい。
ここならきっとミアちゃんが望むものを叶えられる。
そう言って手を伸ばした璃奈。
過去にステージに立ちたい気持ちとできなかった壁を乗り越えることが出来たのは、同好会メンバーが手を伸ばしてくれたからですよね。
自分の夢を叶えてもらったから、今度は誰かの夢に手を差し伸べることができる。誰かの始まりを応援する、それがスクールアイドル同好会なのでしょう。
夢を叶えるのがスクールアイドルだよ
2期の劇伴楽曲「Reach out」
意味は手を伸ばす。手を差し伸べる。
2つの意味を持った、とても素敵な劇伴です。
嵐珠の言う「いくら手を伸ばしても届かないって思い知らされた」という意味を理解できたミア。夢に手を伸ばしたから気づけた、パートナーの本当の願いを知ることができたし、伝えたいって思えたのだと思います。
そして、嵐珠の帰国直前、ミアは空に手を伸ばして言います。
僕は夢を掴むよ
Take your hand out,we can reach
(もう一度手を伸ばそう 僕らなら届くはずだよ)
Don't hide your brightness
(どうかその光を閉ざさないで)
何年もの時間、ミアが夢から目を逸らしてきたからこそ、同好会のおかげで本当の夢を掴めると信じられたからこそ。
嵐珠に対して、一緒に夢を見ることだってできる。だから、本当の夢を諦めないで。
目の前で夢を諦めようとした嵐珠のことがほっとけないし、伝えたくなったのだと思います。
ミアの夢を掴んだ手の先は、嵐珠に手を差し伸べました。
君は、どうする?
他人のことも理解できないのであれば、誰とも一緒にいられない。嵐珠がずっと1人でいようとした理由の全てはここにありました。
人は1人では生きられないとは良く言いますが、そんな生き方ができてしまった嵐珠にとってこの世界はずっとひとりぼっちだったのでしょう。
けれど、嵐珠がいなければ、同好会の夢も侑の夢も叶っていない。嵐珠がいたからイマがあったんです。嵐珠が同好会のイマを繋いだからこそ、ミアや同好会は嵐珠のこれからを繋ぐために手を伸ばしているのだと思います。
栞子とミアと嵐珠。
3人が手を繋ぎあったとき、新しい夢が始まります。
2期9話で初めて使用された「誰もひとりじゃない」の意味。
それは、ひとりじゃないからこれから夢を見ることができる。
この場所から始まるイマに意味が込められていのだと思います。
・ずっとそばにいる意味
次に「誰もひとりじゃない」が使用されたのは2期12話「エール!」です。
使われたシーンとしては、ラブライブ!予選に出る遥達にメールが届くシーンです。
オンラインで開催された予選では目の前にファンはいないですし、ステージに立つスクールアイドル達は1人だと感じます。
オンライン会場のシーンから、遥の着信が流れるまでの無機質な環境音がより現場の緊張感を感じさせます。
そんな緊張の中で届いたメッセージは、ラブライブ!に出場するスクールアイドル全員が安心するものでした。
たとえ離れてても、そばにいるような存在からの応援は力となり、パフォーマンスへと繋がっている。スクールアイドル達はより自分達らしさを表現することができました。
2期12話では侑と歩夢が物語の主軸となりますが、先に応援についてもう1人のメンバーの成長がありました。それは鐘嵐珠です。
上記のとおり、嵐珠は夢を諦めていたところにミアと同好会がいたことで再び夢を追いかけることができました。
この2期12話では栞子とミアと共にユニット活動をしたいという言葉を2人に伝え、"できない"よりも"やりたい"という気持ちで新しい挑戦する決意を固めました。
そして、今回の応援動画では頑張るスクールアイドル達へと手を差し伸べているのです。
自分のやりたい夢を掴めたからこそ、今度は誰かの夢を応援する虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会としての言葉を送りました。
「なんて言えばいいのか分からない」という言葉も、「素直に思ったことを言えばいい」と栞子とミアが教えてくれたことも、嵐珠が誰かに伝えることが初めてなことを表しています。
もうひとりじゃない嵐珠だからこそ、そばにいる温かさを伝えたとても好きなシーンです。
さて、2期12話では歩夢の留学と侑の音楽への道が物語の軸として描かれていました。
スクールアイドルを世界に広めることも、コンクールへの挑戦もそれぞれが決めた夢の道からさらに未来を見据えた次の夢です。
ですが、そのどちらも1人で向かう夢の先。別の道を進んだとしても手を繋いでお互いに確認し合っていましたが、距離が未来に向かうにつれて物理的に離れてしまいます。
勇気をお互いに分け合って支えてきた存在が、いつかはいなくなってしまう現実に本当の夢はぶつかってきます。
そんな中で行われたオンラインライブでは、距離が離れても気持ちは伝わることを教えてくれました。
押してくれた手の温もりは残るよ 2人ならきっと大丈夫
このお話では、ラブライブ!予選も侑や歩夢の夢も、それぞれが好きなことを頑張っている人にエールを送ることに意味があることが描かれています。
TVアニメオフィシャルBOOK2では「たとえ離れていたとしても応援する声は届く、という意味合いで、作中ではオンラインライブを描いています。」と記されています。
遥達スクールアイドルの今起きている不安も、侑と歩夢の将来への不安だって、受け取った応援の言葉が胸に残り続け、その言葉を信じていれば頑張れるのだと思います。お互いに乗り越えてきた時間は永遠に消えることはないのですから。そして、夢に進んでいる大切な人も同じように頑張っているのだから。
2期第12話の「誰もひとりじゃない」の意味。
たとえ離ればなれになったとしても、想いはずっと繋がっているからひとりじゃないと思える。未来に向かうための楽曲だと思います。
・夢の始まりには
劇伴楽曲「誰もひとりじゃない」はTVアニメのみならず『にじよん あにめーしょん』第12話でも使用されています。
「CHASE!」をピアノで演奏したあと、音楽室で侑とせつ菜が語り合うシーンは、TVアニメ1期3話と1期10話を彷彿とさせます。
ここでは、侑とせつ菜の2人の出逢いと今について話をしています。
ううん、同好会のみんな、スクールアイドルのみんなの輝きが、私の本当の気持ちを照らしてくれたんだ。
でもそれは、せつ菜ちゃんと出会えたから。あの日せつ菜ちゃんがスクールアイドルでいてくれたから、私は今もここにいるんだよ。
だから、トキメキを教えてくれてありがとう。
はじめて音楽室で2人が話した時、せつ菜はスクールアイドルをやめて正解だと話していました。旧同好会の衝突が自分に原因があることでおこなった幕引きのステージには1人で立っていたこと。けれど、そのステージにときめいた侑がいたこと。運命的な出逢いとは裏腹に、終わりたい気持ちと始まった気持ちの想いがすれ違った2人でした。
その時に惹かれたトキメキから侑が出した答えは、せつ菜が自由にスクールアイドルをやってほしいという気持ちでした。
その結果、スクールアイドルを辞めずに同好会に戻って再スタートすることができたせつ菜、その後を描いた「素顔のフォトエッセイシリーズ~Rainbow Days~ 大好きな『大好き』」にてこう語られています。
私が大好きなスクールアイドルでいられるのは、みんなのおかげですから
屋上に呼び出されたあの日からせつ菜の世界は変わり始めました。
でもそれは、侑がせつ菜のファンでいてくれたからでしょう。
優木せつ菜という存在は、侑と出会わなければ誰とも一緒になれず消えてしまう存在でした。そんな彼女が同好会で笑い合える今があるのはそんな出逢いが繋いでくれたからでしょう。
そして、侑もせつ菜との出逢いがなければ今の音楽の夢は掴めていません。夢を追いかける人を応援できたら、なんて言っていた1人の少女が自分の大好きな夢を見つけられたのはスクールアイドル優木せつ菜と出逢うきっかけがあったからです。なりたい自分になれたのはせつ菜がいたからです。
スクールアイドルでいてくれたせつ菜、ファンになってくれた侑。
名前すら知らない2人が、ただそれだけの関係でいたことが2人の夢をイマに繋いできてくれたのでしょう。
そしてそれは、2人だけじゃなく、同好会の全員が今を輝くスクールアドルとしていられる理由。全員が思える出逢えた奇跡なのだと思います。。
『にじよん あにめーしょん』第12話の「誰もひとりじゃない」の意味。
これまでの出逢いがあったから、夢を追いかけられるイマがあるという過去からのメッセージなのだと思います。
・きっと誰もひとりじゃない
この記事の始まりで夢を叶えるために必要なことについて話してきましたが、虹ヶ咲において伝えられていた大切なことは
「そばにいる存在からもらう勇気」ではないかと思います。
ひとりで何かを始めたいと思ったとき、不安な気持ちというのはつきまとってきて、立ち止まったり躓きそうになることはあります。そんな時に大切な存在がそばにいてくれるだけで勇気が湧いてくるのだと思います。
それは始まりをくれた存在かもしれないですし、隣にいてくれた友人かもしれません。
もしかしたら、その大切な人は別の道を進んだ人かもしれません。
けれど、今が楽しいと思えたときにはその人の顔を浮かべてもいいのかもしれません。
だって、ここまで進んできた道はたくさんの出逢いによって導かれた、
虹の架け橋なのですから。
・ご挨拶
こんにちは、ぎぬまです。挨拶が遅れてしまいました。
挨拶を最後に入れるのが初めてなもので、今回のブログの書き出しが分からなかったり、話の切り口が難しかったりと試行錯誤でした……笑
「誰もひとりじゃない」の記事本編としては以上となりますが、ここで少しばかり宣伝をさせてください🙏
今回の企画で初めて劇伴に触れたよ〜とか、好きな劇伴が増えてもっと聴いてみたいという方へ朗報です!
7月29日(土)にパルテノン多摩にて『ラブオケ!』というラブライブ!楽曲のオーケストラコンサートのイベントが開催されます!
虹ヶ咲だけでなく、ラブライブ!・ラブライブ!サンシャイン!!・ラブライブ!スーパースター!!の劇伴や挿入歌にずっと浸れる"ここだけ"の特別なイベントです!
【サプライズ】動画で演奏していただいたメンバーも大活躍なので、ぜひお時間のある方は足をお運びください😊😊
ラブオケ! Orchestral Concert のチケット購入・予約は TIGET から
宣伝も完了したということで、本企画もゴールへと近づいて参りましたが、本企画についてもう少しだけ振り返ります。
音楽の力ってすごくないですか?
というのも、今回の企画では演奏動画とブログという2つのアプローチから劇伴音楽の魅力を伝えられたのではないかと思います。
記事に関しても、今回がリレー形式であるように私1人ではなく劇伴に触れて記事を書いてくれる友人が増えたことで、劇伴音楽の見方や良さがもっと広くなったのではないでしょうか?
そして、サプライズの演奏動画。これは私にとっての夢でした。
私自身、楽器ができるわけでもなく、音楽知識はほとんどありません。
なんとなくで優しい音だな〜って思ったり、タイトルから物語の意味を考えたりという楽しみ方をしてきましたが、一番はやはり聴いてもらいたい気持ちが強かったです。
それが今回叶えられたことは私にとってもかなり励みになりました。
この場をお借りしてお礼とさせていただきます。
今回の企画、記事を見て物語を振り返り、演奏であのシーンの音だったんだと、ピンときてもらえたら今回の企画は大成功!です!!
さて、いよいよ明日はNEXT SKY公開当日です。
明日を迎えるにあたって、どんな気持ちですか?
私は期待と不安の両方が混ざりあっています。
虹ヶ咲というコンテンツが叶えてきたTVアニメという夢の集大成、劇場公開という大きな夢が叶う瞬間は嬉しさで胸がいっぱいになります。
それと同時に、この夢が叶ってしまったらこれで本当に終わってしまうのではないかという気持ちもあります。
ラブライブ!シリーズを追いかけてきて約9年という月日の中で、今が一番熱く駆け抜けてきた実感が強くあります。これが青春と呼べるくらい、かけがえのない日々でした。
そんな青春が終わるかもしれない、そんなことをついつい考えてしまいます。
近い話でいえば、6月30日にはスクスタのサービス終了が間近にあって、永遠の一瞬を掴む手が離れてしまうように思ってしまいます。
そんな寂しさに暮れていても、時間は過ぎていく。
だからこそ、今掴んでいるこの時間を最大限に楽しんでいきたいと思います。
いつか離れたとしても、思い出はいつまでも残り続けているって私は信じています。
あるグループが思い出の宝石を指輪にしたように。
あるグループが想いは0にならないと胸に刻んだように。
胸の中に咲いた虹がどんな未来を見せるのか。重ねてきたこの色とりどりの虹はどこまで伸びていくのか。
次の空はもう目の前まで来ています。
楽しい未来が待っていることを信じて、この言葉で締めたいと思います。
次は、あなたの番!
・演奏動画